欲しいものが、欲しいね。

植草甚一さんほど尊敬すべき人物はいないなァ。まねてもなれる存在ではないよね。

喫茶店の片隅で生まれたジャズ雑誌

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「ジャズ批評」という雑誌があります。どのような編集方針の雑誌なのでしょうか。その答えが日本経済新聞に掲載*1されていました。

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「ジャズ批評」の創刊は1967年。来年創刊50周年を迎えます。編集部はJR日暮里駅にほど近いマンションの一室にあります。編集長は創刊以来松阪妃呂子*2さん(84)がつとめています。記事は日本のジャズとともに過ごしてきた松阪さんの半生を振り返る内容です。東京に出てきた松阪さんは1965年銀座にジャズ喫茶店を開業します。店は福島輝人さんらフリージャズ愛好家のたまり場になりやがて同人誌が発行されます。「ジャズ批評」はその同人誌の流れで創刊されたといいます。経済成長を始めた日本には著名な演奏家が続々来日。ジャズブームに拍車がかかります。デューク・エリントンやソニー・ロリンズなどとの交流の様子も描かれています。ジャズという展望台から見た世相の変化が物語のようによみがえってきます。本誌は政治的な評論を避けたことから「50~60年代のジャズを中心とする保守的な雑誌と思われていた」ようですが、最近ではロバート・グラスパーなど新世代ジャズに幅を広げているというのも時代の流れを感じさせます。高度成長する日本と、それを支えた人たちの心をジャズは癒やし続けたのかもしれません。この記事、膨らませていったら朝の連続ドラマの素材になるかもしれません。

*1:「小さな雑誌ジャズに載せ」日本経済新聞2016年3月4日

*2:1932年福島県川俣町生。絹織物の産地として栄え、松阪さんは仲買人だった父から音楽や美術の影響を受ける。53年に上京してジャズと出会う。