欲しいものが、欲しいね。

植草甚一さんほど尊敬すべき人物はいないなァ。まねてもなれる存在ではないよね。

名盤とは何か

ジャズ評論につきものなのが「名盤」という代名詞です。

辛口の愛好家で知られる寺島靖国氏は「いまは名盤という過去の亡霊にすがっている時代だよね」といいます。

「自分が好きになったもの、自分が良いと思ったものが名盤なんだ」と聞くと気分がスッとします。

ジャズ・ファンで自分の好きなものを探して聴いている人は本当に少数派。ジャズは円熟の音楽ではなくて、若い才能の音楽だと。これまで若手も出てこなく、マイナーも面白くないという時期があって、古い世界に向かわざるを得なかったという事情もある。いま、あまりにも過去の遺産だけに頼りすぎるという傾向がある。

f:id:寺島靖国

我慢をして聴かなけりゃジャズはわからない?僕は我慢をするのは良くないと思う。我慢して聴くというジャズになじめないでやめていった人は多いじゃない。我慢をして聴けというのは評論家が自分の若い頃を振り返って言っていることで、あのころはジャズしかなかったから。今の若い人はジャズの専門誌は読まないし、ミュージシャンの名前も知らないけれど、視聴機で聴いてなかなかいいから買おうみたいな時代なんです。

自分の耳を信頼するこんな意見もあります。「ジャズ喫茶のオヤジはなぜ威張っているのか」(河出書房新社)の著者でジャズ喫茶イーグルの店主の後藤雅洋氏はこういいます。

f:id:後藤雅洋

なんといっても飽きないということ。たとえて言うなら日本人にとって米の飯。新趣向のアルバムの中には 一瞬新しいけれども、三回も食べたら飽きるようにできているものがある。流行歌などはいい例。いつまでも同じCDを聴いていられたら商売にならないでしょ、そういう意味でジャズは聴き手にとってコスト・パフォーマンスはとんでもなくいい。一回買ったらずっと食べていける米の飯だから。

たくさん聴くもよし、じっくり聴くもよし。自分の心の鍵穴にピッタリと刺さり込み、まだ見ぬ自分の姿に出会える瞬間に出会える曲が名盤だと思います。その出会いは一瞬の場合もあるし数を重ねてようやく出会える場合もあると、二人の愛好家はいっているように思えます。

新古書店で手に入れた「JAZZ名盤入門」(宝島社)は肩のこらない”名盤”カタログでした。

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