欲しいものが、欲しいね。

植草甚一さんほど尊敬すべき人物はいないなァ。まねてもなれる存在ではないよね。

Concierto

Jim Hallジム・ホール

「Concierto」 

Concierto

Concierto

 

M4「Concierto De Aranjuez」が響きますね。時間が経過するごとに音の厚みが加わっていくような構成も見事ですが、私はスティーヴ・ガッドのドラミングに聴き惚れました。的確に刻まれるリズムを時折「バララッ」「ズチチャッ」と崩すあの感じです。あの変化球があるからジム・ホールのギターも、抑揚の効いたデスモンドのアルト・サックスも水を得た魚のように心を揺さぶるように思えます。

知的で叙情的なこのアルバムはCTIレーベル全作品中のベストセラーアルバムといわれています。スペインの盲目の作曲家ホアキンロドリーゴの手になる「ギターとオーケストラのための協奏曲」の第二楽章に登場するメロディは、ドン・セベスキーによりアレンジされました。

構造を単純化し、あたかもスタンダードナンバーのように「一定のコード進行による循環」を強調した点に特徴があるといわれます。

ホールのくすんだ音色、ベイカーやデスモンドの譜面に書かれているかのようなソロ、マーチング・バンドを思わせるガッドのパターンの反復、クールな演奏に秘められたエモーションがひたひたと押し寄せる名曲の名演です。

ロン・カーターのベースとスティーヴ・ガッドのドラムスが淡々とリズムを刻み、ポール・デスモンドのクールなアルト・サックスから、むせび泣くようなチェット・ベイカーのトランペットの後、ローランド・ハナのピアノの息を呑むようなタッチに引き付けられます。

ジム・ホール(1930~2013)といえばビル・エヴァンスとのデュオでの人気盤「アンダーカレント」が有名です。クロスオーヴァーフュージョンブームの火付け役、CTIレコードの総帥クリード・テイラーのプロデュースの元、チェット・ベイカー(トランペット)、ポール・デスモント(アルトサックス)、ローランド・ハナ(ピアノ)、ロン・カーター(ベース)、スティーヴ・ガッド(ドラムス)という凄いメンバーが参加したのが1975年にリリースされた「Concierto De Aranjuez」です。

 

1. You'd Be So Nice To Come Home To
2. Two's Blues
3. The Answer Is Yes
4. Concierto De Aranjuez

Jim Hall(guitar),Chet Baker(trumpet),Paul Desmond(alto Sax),Roland Hana(piano),Ron Carter(bass),Steve Gadd(drums)

Don Sebesky(Arranged)