欲しいものが、欲しいね。

植草甚一さんほど尊敬すべき人物はいないなァ。まねてもなれる存在ではないよね。

Spiral

上原ひろみ

「Spiral」

スパイラル

スパイラル

 

みなぎる躍動と緊張感。渾身のコラボレーションです。

上原ひろみの2004年発表のサード・アルバム。全曲オリジナル作品です。バークリーで培った確かな作曲技術、演奏技術もさることながら、音楽にすべてをささげるその姿勢、ミュージシャンとしての魂の強さを感じるアルバムです。

「3人で演奏する音で、オーケストラのような音楽をつくりたい」・・・・ライナーノーツに記されたこの上原本人の発言が、今作の特徴を端的に物語っている。特にアルバムの前半部は、まさしく一つのコンセプトで統一された組曲のように展開していくが、緻密な計算をもとに構成された壮大なアレンジと、緊張感あふれるスリリングな演奏が聴きどころといえるだろう。3人編成のオーソドックスなピアノトリオ作品でありながら、エレキベースシンセサイザーを乗っけるコンテンポラリーなバンドのスタイルも、そんな印象をより効果的に強調している。ジャズ的でルーズな即興性とはほど遠く、スイングする感じとは無縁の世界。集中して聴いていると少々肩がこるのも確かなのだが、とにかくスケールの雄大さは特筆ものである。

上原ひろみは、ミスを恐れておらず、むしろ楽しんでいるように感じます。それはもちろん、彼女の高い演奏技術に裏付けられた自信があってのことだとは思いますが、ともあれ、私たちはぎりぎりの緊張感の中で生み出される何がしかの「新しいモノ」をジャズライブに求めているのであり、若くしてその期待に応える上原に拍手を送りたい。そう思うのです。

スイングジャーナル誌主催ジャズ・ディスク大賞<日本ジャズ賞>受賞作品

ボストン・ミュージック・アワード<ベスト・ジャズ・アクト賞>受賞

上原ひろみ (p,keys) トニー・グレイ (b) マーティン・ヴァリホラ (ds)

01. Spiral - Music For Three Piece Orchestra-
02. Open Door/Tuning/Prologue
03. Deja Vu
04. Reverse
05. Edge
06. Old Castle,by the river 古城、川のほとり、深い森の中
07. Love And Laughter
08. Return Of Kang-Fu World Champion
09. Big Chill (Bonus Track For Japanese Release)