「Sweet Rain」
新しい時代のジャズを取り込むためにゲッツは当時のジャズ界の流れだったモードやフリを積極的に取り込みます。ゲイリー・バートンや、スティーブ・スワロウらフレッシュな才能を積極的にサイドマンに起用しました。67年になってゲッツの目にとまったのが当時駆け出しの新人ピアニスト、チック・コリアでした。初期のチック・コリアのサイドマンとしての演奏が聴けるアルバムです。
M1「Litha」はチック・コリアのオリジナル曲です。チックの3歳になる娘リアナと一歳の息子サッドからタイトルを採っています。彼のリーダー作「Tones For Joan's Bones」(66年)でも取り上げられている曲です。ラテン・リズムとフォー・ビートが交差するおもしろいナンバーで、ゲッツのテナーは柔らかい音色でドライブ感たっぷりに仕上げています。
M2「O Grande Amor」はアントニオ・カルロス・ジョビンが60年に発表したボサ・ノヴァです。「ゲッツ/ジルベルト」にも収録されていますが、再吹き込みで収録されました。
アルバム・タイトル・トラックであるM3「Sweet Rain」は、ユニークなコンポーザーで、現代音楽にも造詣が深かったマイケル・ギブスの作品です。水彩画を見るようなゲッツの叙情あふれるプレイが聞き所です。M4「Con Alma」はラテン系の曲(ボサノバとアフロ・キューバン)が取り上げられています。これはディージー・ガレスビーの曲です。騒々しさとは無縁のデリケートな世界が表現されています。
最後を飾るのはチックの初期の代表曲「Windows」早い3拍子のリズムのナンバーは繊細なチックのピアノが光ります。ゲッツのスケール感を持った演奏が光ります。
1 Litha 8:31
2 O Grande Amor 4:44
3 Sweet Rain 7:12
4 Con Alma 8:06
5 Windows 8:57
スタン・ゲッツ(TS)
チック・コリア(p)
ロン・カーター(b)
グラディ・カート(ds)
1967年3月30日 ニュージャージーにて録音