「Poetic Motion」
芸術性の高いソロピアノ作品。現代人の抱える不安を絵に描いたようなアルバムです。
現代音楽に手が届きそうなギリギリのところに輝くピアノ独奏です。美術館のような空間で聴くと自分の中に眠っていたものが目を覚まして来そうな気がします。繊細で静寂で時空を超える音の流れといったところでしょうか。
マーク・コープランドは、80年代マーク・コーエンの名で、ジョン・スコフィールド(g)や、ラルフ・ターナー(g)、ジョン・アバクロムビー(g)らと共演してきたジャズピアニストです。彼の多彩で独創的なハーモニーは、まるで星屑のようにキラキラと輝きを増して、夜空から降り注ぐようです。澤野工房SKE333020
マーク・コープランドのスタイルは、ビル・エヴァンス(p)、キース・ジャレット(p)らの系統に位置する耽美的なコード・ハーモニーと、バルトークやシェーンベルクら現代音楽の作曲家達からの影響の、無調性感さえを感じさせるシングル・トーンのラインの、奇妙な同居に特徴があるといえよう。コープランド自身のコメントによると、印象派の絵画を、サウンドで表現することを意図しているとのことである。近くで絵のテクスチャーを見ると、ブラシやナイフで描かれた様々なカラーの断片の集合体が、全体像を離れて見ると、それらが一体のアンサンブルとなって美しい風景を描き出している印象派のコンセプトを音に置きかえ、アドリブの瞬間、瞬間では不自然に聴こえる断片の連続や、インター・プレイなどのサウンド・テクスチャーも、1曲が完結するとそれぞれが有機的につながり、美しさを描いている。
1. Second Sight
2. Blackboard
3. Not Going Gently
4. Nevertheless
5. Spartacus Love Theme
6. When We Met
7. Bittersweet Road
8. Dark Territory
9. Naima
Marc Copland (piano)