欲しいものが、欲しいね。

植草甚一さんほど尊敬すべき人物はいないなァ。まねてもなれる存在ではないよね。

第58回グラミー賞

2月15日(現地時間)音楽界屈指の人物たちに敬意を表する第58回グラミー賞が開催されました。ケンドリック・ラマーが、『To Pimp a Butterfly』で最優秀ラップ・アルバムに輝きました。*1

 

ジャズ関係

Best Rap Performance:
「Alright」Kendrick Lamar (WINNER) 
Alright [Explicit]

Alright [Explicit]

 

「Apparently」J. Cole
「Back To Back」Drake
「Trap Queen」Fetty Wap
「Truffle Butter」Nicki Minaj Featuring Drake & Lil Wayne
「All Day」Kanye West Featuring Theophilus London, Allan Kingdom & Paul McCartney

Best Rap/Sung Collaboration:
「These Walls」Kendrick Lamar Featuring Bilal, Anna Wise & Thundercat (WINNER) 
These Walls [feat. Anna Wise] [Explicit]

These Walls [feat. Anna Wise] [Explicit]

 

「One Man Can Change The World」Big Sean Featuring Kanye West & John Legend
「Glory」Common & John Legend
「Classic Man」Jidenna Featuring Roman GianArthur
「Only」Nicki Minaj Featuring Drake, Lil Wayne & Chris Brown

Best Latin Jazz Album:

「Made In Brazil」Eliane Elias (WINNER) 

tanazashi.hatenadiary.com

「Impromptu」The Rodriguez Brothers

「Suite Caminos」Gonzalo Rubalcaba
「Intercambio」Wayne Wallace Latin Jazz Quintet
「Identities Are Changeable」Miguel Zenón

 

Best Large Jazz Ensemble Album:

「The Thompson Fields」Maria Schneider Orchestra (WINNER) 

Thompson Fields

Thompson Fields

 

「Lines Of Color」Gil Evans Project

「Köln」Marshall Gilkes & WDR Big Band
「Cuba: The Conversation Continues」Arturo O’Farrill & The Afro Latin Jazz Orchestra
「Home Suite Home」Patrick Williams

Best Jazz Instrumental Album:

「Past Present」John Scofield (WINNER)  

tanazashi.hatenadiary.com

「My Favorite Things」Joey Alexander

「Breathless」Terence Blanchard Featuring The E-Collective
「Covered: Recorded Live At Capitol Studios」Robert Glasper & The Robert Glasper Trio
「Beautiful Life」Jimmy Greene

Best Improvised Jazz Solo:

「Cherokee」Christian McBride, soloist (WINNER) 

Cherokee

Cherokee

 

「Giant Steps」Joey Alexander, soloist

「Arbiters Of Evolution」Donny McCaslin, soloist
「Friend Or FoeJoshua Redman, soloist
「Past Present」John Scofield, soloist

 

ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)

すでにリード・シングル“i”が昨年のグラミー賞に輝いているケンドリック・ラマーの最新作『To Pimp A Butterfly』は、様々なメディアで2015年のベスト・アルバムに選出されるなど高く評価され、中でも米Rolling Stone誌は、「音楽においても、歌詞においても、表現されている感情においても、ケンドリック・ラマーの3作目は比類なき傑作」と評した。

その評価はグラミー賞にも反映されており、『To Pimp A Butterfly』はアルバム・オブ・ザ・オヤー部門、最優秀ラップ・アルバム部門の候補に選出。また、同作に収録されているファレル(Pharrell)らプロデュースの“Alright”がソング・オブ・ザ・イヤー部門、最優秀ラップ・ソング部門、最優秀ラップ・パフォーマンス部門、最優秀ミュージック・ビデオ部門、同じく同作収録の“These Walls”が最優秀ラップ/歌唱コラボレーション部門にノミネートを受けたほか、ミネートを加えると、主要4部門中2部門、合計11つの候補に選ばれた。

この11ノミネートという数は、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)による計12ノミネートに次ぐ、史上2番目の記録で、ラッパーとしてはエミネム(Eminem)による10ノミネートを上回って史上最多となる。

この傑作がどのようにして生まれたかは、関わったプロデューサーなどから断片的に語られてきたが、グラミーの公式サイトは、ケンドリック本人に加え、エンジニアのミックスドバイアリ(MixedByAli)や、テラス・マーティン(Terrace Martin)、サンダーキャット(Thundercat)、サウンウェーヴ(Sounwave)、そして“Complextion (A Zulu Love)”にゲスト参加した女性ラッパーのラプソディ(Rapsody)を迎えてインタビューを敢行。

ミックスドバイアリによれば、アルバム2~3枚分の音源をお蔵入りしてようやく生まれたのがこの『To Pimp A Butterfly』であり、2014年に、ツアー先の南アフリカで、ネルソン・マンデラ元南ア大統領が収監されていた独房を見た経験が、アルバムの方向性に大きく影響を与えたという。

ケンドリックは、「俺はアフリカに属していると感じたんだ。教えてもらったことのない、あらゆるものを目にした。いまだにコンプトンのゲットーで暮らす人がいる中で、その場所を美しいと思えるというコンセプトに集約することが(制作において)難しかったことのひとつかもしれない。でも、(アフリカでの)あの体験を、音楽に入れたかったんだ」と振り返っている。

“Complexion (A Zulu Love)”の制作の話になると、テラス・マーティンは制作中にJ・ディラ(J Dilla)、ジミ・ヘンドリクス(Jimi Hendrix)、レイラ・ハサウェイ(Lalah Hathway)を多く聴いたと明かし、「ロバート・グラスパー(Robert Glasper)がピアノを弾いたんだ。俺とサウンウェーヴはそのピアノを聞いて、(実際に)レイラ・ハサウェイに連絡して来てもらい、J・ディラのスピリットを吹き込んでもらった」と語った。また、黒人女性の肌の色(complexion)をテーマにしたことについて、「ライトスキン(明るい肌)とダークスキン(暗い肌)って分けてしまうけど、俺たちいはみんなブラックだ。このコンセプトも南アフリカで生まれたもので、あらゆる色の人たちがひとつの美しい言語を話しているのを見たことがきっかけだった」とケンドリックは説明。そしてそのコンセプトゆえか、ラプソディによると、「ケンドリックは最初、自分はこの曲でラップしないって言ってたのよ。私にヴァースを2つともラップさせて、プリンス(Prince)にフックを歌ってもらおうって」と明かし、プリンスが“Complexion (A Zulu Love)”に参加予定だったと語った。

ケンドリックは、「プリンスはあの曲やコンセプトを気に入ってくれて、スタジオで話すまではいったんだけど、結局何もレコーディングすることはなかった。時間切れだったんだ、単純に」と、プリンスが不参加に終わった理由を振り返っている。

ケンドリック・ラマーは、2014年に発表されたプリンスのアルバム・リリース・イベントにサプライズ出演して共演を果たしており、当初からプリンスが『To Pimp A Butterfly』に参加するとの話や共にスタジオ入りしたとの噂が出ていた。昨年4月には、実際にプリンスに参加してもらう予定があったものの、時間が足らなかったとラジオ番組で話していたが、具体的にプリンスがどの曲に参加予定だったかが明らかになったのは今回が初めて。

また、フライング・ロータス(Flying Lotus)のビートを使ったオープニング・ナンバー“Wesley’s Theory”については、「カニエ(・ウェスト)とツアーに出ているとき、ツアー・バス内のステージで制作しようとフライング・ロータスを呼んだんだ。その時、1曲だけ彼がちゃんと俺に聞かせなかったビートがあって。彼はすぐにスキップしたから俺は3秒だけ耳にしたんだけど、『今の何だ?』って訊くと、『今のはリアルなファンクだ。……あれにはラップはできないだろ』って言われた。やれるもんならやってみろ、って感じだったよ」などと、ケンドリックは振り返っている。

当初は、影響を受けた故トゥパック(Tupac)への敬意を示そうと、略称が「Tu-P-A-C」になる『Tu Pimp A Caterpillar』というタイトルも検討された『To Pimp A Butterfly』だが、インタビューの最後にケンドリックは、「社会的な問題について話すと、コンシャス・ラッパーとレッテルを貼られてしまう。コンシャス(問題意識の強い)という言葉が、音楽のひとつのフィールドにおいてのみ存在するものなのかはよく分からないけど。だってみんなコンシャスなんだから。そしてそれは神様から与えられたギフトで、俺はそれを自分の胸に収めて語り続けていく。俺がトゥパックを見たのは9歳のときだった。そしてその瞬間が、俺が今やっていることの誕生の日だと思う。彼がこの世を去った瞬間から、彼が(生きていれば)何を話すだろうということが俺には分かっていたし、誰かがその役目を引き継ぐと思っていた。まさか自分がその人間になるなんてことは、当時は幼すぎて分かっていなかったけどね」と話している。

 2016年02月12日 20時25分

 ケンドリック・ラマーの「コンプレクション」はプリンスとラプソディのみの曲になる予定だった | bmr

*1:最優秀ラップ・パフォーマンス:最優秀ラップ/歌唱コラボレーション部門も受賞