欲しいものが、欲しいね。

植草甚一さんほど尊敬すべき人物はいないなァ。まねてもなれる存在ではないよね。

Whims Of Chambers

Paul Chambersポール・チェンバース

「Whims Of Chambers」

Whims of Chambers

Whims of Chambers

 

決してWhims(思いつき)などではない仲間との融合作品です。 ハードバップ志向のジャズ・ベースを志すミュージシャンのお手本として知られるベーシスト、ポール・チェンバースの初リーダーアルバムです。マイルスバンドの仲間、ジョン・コルトレーンとフィリージョー、ドナルドバード、ケニーバレル、さらにはホレスシルバーなどそうそうたるメンバーが顔を連ねています。 

テナー・サックスのジョン・コルトレーン。各パートのソロの後ろでチェンバースのウォーキング・ベースが十分に堪能できます。ポール・チェンバースは、超絶技巧のピチカートのアドリブソロやボウイング(弓弾き)が聞き所です。4ビートのウォーキング・ベースの美しいメロディーが印象的なのがM2「WHIMS OF CHAMBERS」(チェンバースの思いつき)でしょう。

バレルのギターとのユニゾンでテーマを奏でたチェンバースは、すぐにピッチカートでソロを取る。そのあとウォーキングベースに切り替えて、そこにシルバーのピアノが乗ってくる。この変化の瞬間、ゾクゾクッとさせられ、個人的には聴き所のひとつ。

4ビートのウォーキング・ベースの美しいメロディーはときめく鼓動に似ています。

ホーン参加のないこの曲は、アルバムの中では目立ちにくい存在かもしれないが、バレルとシルバー、チェンバースというなかなかありえない三者の融合にもまたゾクゾクッとさせられて、自然と聴き入ってしまう。

チェンバース以外の曲提供は、①④のバード、③⑦のコルトレーンだ。③から④への流れは両者の曲想の特徴が比較できるようだ。どことなくコミカルなテーマが当時のコルトレーン曲らしく、対して前傾姿勢で溌剌としたバードの曲調。似たようなテンポの曲だけに、作曲能力だけでなく、二人の性格まで見えてきそうだ。

 

 

1 OMICRON
2 WHIMS OF CHAMBERS
3 NITA
4 WE SIX
5 DEAR ANN

6 TALE OF THE FINGERS
7 JUST FOR THE LOVE

ドナルド・バード (tp)
ジョン・コルトレーン (ts)
ケニー・バレル (g)
ホレス・シルバー (p)
ポール・チェンバース (b)
フィリー・ジョー・ジョーンズ (ds)
1956年9月21日録音